芸術と蛇。

美学と心理学と神経科学。それと少しのPythonやってます。

浮世絵収集、川瀬巴水

最近訳あって浮世絵の画像を集めています。

浮世絵といえば、

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こんなのがとても有名です。

 

浮世絵をまじまじと見たのは多分中学生とかそれ以来です。

当時は、「あー浮世絵ね、葛飾北斎とかでしょ。なんかのっぺりしたやつ」

くらいにしか思ってなかったのですが、

改めて年をとってからみるとなんかとんでもない事をしてますね、浮世絵師は。

 

同時代の西洋画をある程度観てから浮世絵に戻ってくると、いかに浮世絵の構図が凄まじいか身にしみます。

先ほどの絵であれば、大胆な余白や、そして何より富士山を遠景に用い小さく描く事により波の激しさを生き生きと描いています。

 

びばジャポニズム

ウィーンにはクリムトの作品が多く存在しますが、特に「接吻」を観た時に尾形光琳の紅白梅図を思い出しました。紅梅と白梅が出会ったらこうなるだろうみたいな。

なんかよくわからない事言っていますが、とにかく最近日本美術に衝撃を受けています。19世紀のヨーロッパの画家は日本に出会い、それ以上のショックを受けていたのでしょうね。

 

さて、無知で恥ずかしいのですが浮世絵を調べていく過程で知った、川瀬巴水という新版画家がとても気になっています。

あー日本ですねって感じの浮世絵チックな作品を多く残しています。麦焼酎二階堂のCMみたいな。

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質感は浮世絵なのですが、風景にはしっかりと遠近法を入れ、また陰影もつけているのでいわゆる浮世絵とは違い立体的な配置になっています。また彩色も大胆ではなくどちらかといえば繊細で、これも浮世絵とは大きく違う。

しかし、人は平面で描いているのが面白い。風景画なので主体は風景なのは当然としても、彼の絵では人はサイドメニューですらなく、あくまで背景でしかないのです。彼の作品では人が平面に描かれる事が多く、人より風景の方に「生」を感じさせます。風景は基本的に「在る」ものですので永遠性を孕みますが、彼の作品ではそれと同時に「風景の生」つまり時間の流れを感じます。この永遠性と、時間という刹那性の相反する二つの概念を同時に感じさせるところに私は惹かれています。

 

とまあ新しい画家との出会いがありました。

嬉しい限りです。